俳句の部屋
創業者「長島百里」が愛した俳句の世界をお楽しみください。
主観に生きるのは叙情句であり、客観に生きるの は叙事叙景句である。叙情句は例えば、月を見て悲 しくなったり、しんみりとしたり、面白おかしくな たりする。己の感情を吐露するものであり、叙事叙 景句は山水花鳥の姿に興趣を覚え、見た眼で本能の 持味を捉え用語を駆使してこれを描写するものであ る。叙情句は時に素晴らしい効果をもたらすときもある が、多くは自分だけが満足するいわゆるひとりよがりの 句が多く、読む者見る者に不可解なものが多い。俳 句という文学は庶民の中に生きるものである限り、 作った価値と喜びを自分だけのものにせず、読む者 見る者と喜びを共有してこそ、大衆の中に生きる文 学と言えるものだと思う。
俳句は容れ物や、形を変えることで新しくなるの ではなく、十七文字のリズムと季感を尊重すること の鉄則を踏まえて、中身を新しくすることこそ現代 俳句なのである。